傷みやすい肉の順番

一般的な食用肉(牛・豚・鶏)の中で、もっとも傷みやすいのは鶏肉です。
これは、鶏肉が牛肉や豚肉に比べて水分量が多く、細菌が繁殖しやすいためです。次に傷みやすいのは豚肉で、この中では牛肉が比較的傷みにくいといえます。
さらに、お肉は形状(加工の度合い)や部位によっても傷みやすさが変わります。加工されたものでは、ひき肉 → スライス肉 → ブロック肉の順に傷みやすくなります。細かく切り分けるほど空気に触れる面積が広がり、酸化や細菌繁殖のリスクが高まるためです。
また、部位によっても傷みやすさに差があり、内臓に近い部位ほど傷みが早い傾向があります。保存や調理の際には、こうした特徴を意識することで、より安心・安全に美味しく楽しめます。
肉の保存で気を付けたいポイント

肉はとてもデリケートな食材で、保存状態によって鮮度も味も大きく左右されます。特に注意したいのが、「水分」と「空気」です。肉は空気に触れると酸化が進み、細菌も繁殖しやすくなります。そのため、冷蔵保存をする際は、できるだけ購入したトレーのままにせず、一度取り出してラップを肉にぴったり密着させて包むのが理想的です。
また、フリージングバッグや密閉容器に入れることで、空気との接触を減らし、鮮度を保つことができます。冷凍保存する場合も同様で、なるべく空気を抜いて密閉することが美味しさをキープするコツです。
さらに、金属トレーにのせて急速に凍らせると、ドリップの流出を抑え、食感や風味も損ないにくくなります。ちょっとした手間ですが、このひと工夫で保存状態がぐんと良くなり、美味しさも長持ちします。
美味しい肉を選ぶコツ

美味しく食べるためには、鮮度の良い肉を選ぶことが大切です。売り場でぜひチェックしてほしい、肉の見極めポイントをご紹介します。
1.色
- 牛肉:鮮やかな赤色〜濃い赤色が鮮度の良い証拠。褐色に変わり始めたものは酸化が進んでいます。
- 豚肉:やや灰色がかった淡いピンク色が新鮮。時間が経つとピンク色が褪せ、灰色が強くなります。
- 鶏肉:透明感のあるきれいなピンク色が目安。色がくすんだり濁っているものは避けましょう。
2.水分(ドリップ)
肉のトレーの中にたまる赤い汁(ドリップ)は、肉のカット、冷解凍などで肉の細胞が傷つき、旨味や水分が流れ出たものです。ドリップが多いと肉の質が落ちてしまうだけでなく、栄養価も減少し、細菌繁殖も進みやすくなるため、ドリップが少ないものを選ぶのがベストです。
3.表面と脂
- 牛肉:脂肪の色は乳白色がベスト。黄みがかると鮮度が落ちているサイン。霜降り肉なら、サシ(脂肪の入り方)が細かいものほど柔らかく上質です。
- 豚肉:表面にみずみずしい光沢があり、赤身と脂身の境目がくっきりしているものが新鮮。脂は時間が経つと黄色っぽくなるので、白く艶のあるものを選びましょう。
- 鶏肉:ハリのあるみずみずしいピンク色。皮の色は鮮度の高さで変わり、黄色味が強い方が新鮮で、古くなると白っぽくなります。
肉の特徴を知る

部位によって肉質・味・用途が大きく異なるため、それを知って選ぶと料理の仕上がりもぐっと美味しくなります。
牛肉
ヒレ:脂が少なく柔らかい。高級ステーキ向き。
ロース:脂(サシ)が多く、旨味と甘みが強い。すき焼き・焼肉に。
バラ:脂が多くコクも豊か。煮込み料理・焼肉におすすめ。
豚肉
ロース:柔らかく、脂の甘みが楽しめる。しょうが焼きに最適。
バラ:脂が多く濃厚な味わい。角煮・煮込み・焼肉に。
モモ:脂が少なくさっぱり。カツや炒め物に。
鶏肉
ムネ:脂が少なくヘルシー。低温調理や蒸し鶏に。
モモ:脂と旨味がしっかり。唐揚げ・煮込み料理にぴったり。
ささみ:淡白で柔らかい。サラダ・和え物におすすめ。
管理栄養士からアドバイス

これからの季節は気温も湿度も高く、肉の鮮度管理にはいっそうの注意が必要です。すぐに調理が難しい場合は、なるべく新鮮なうちに冷凍するのがおすすめです。
一度鮮度が落ちてしまったお肉を冷凍・解凍しても、本来のおいしさは戻りません。また、調味料に漬けてから冷凍したり、下ゆでして保存すると保存性が高まり、調理の手間も減ってスムーズです。下味をつけた状態で冷凍しておけば、調理の手間をぐっと減らすだけでなく、食材の風味も損なわずにおいしく仕上げられます。
まとめ
- 鶏肉 → 豚肉 → 牛肉の順に傷みやすい
- 肉の加工度によって傷むスピードも変化(ひき肉 → スライス肉 → ブロック肉の順)
- 買ったらすぐ水分を拭き取り、トレーから出して密封保存が長持ちのコツ
- 新鮮な肉を見分けポイントは「色」・「ドリップ」・「脂」をチェック